なんとかなる日々

なんとなく きげんよく のびやかに。

ごはんは、つくってもらうか、つくってあげるもの。

読了 にぎやかな落日  著: 朝倉 かすみ 

おもしろかった。

84歳女性のモノローグ。
いわゆる玄冬小説ですね。
「おらおらでひとりいぐも」とちょっと重なる。北海道在住という設定なので、すこし肌感が違うんだけど、これが関西弁だったら、あまりにも生々しいかな・・・だから、ちょうどよかった。日々の暮らしが丁寧に書かれていて、あぁ、あるある、と思うこともたくさん。どんどんと記憶があいまいになっていく悲しさとか、ずーんとくる感じとか、あぁ、こんな感じになるのかなぁと、自分のこれからの、予習感満載。

一人暮らしになって、おもちさん(主人公)が

ごはんはだれかにつくってもらうか、だれかのためにつくるものだった。自分ひとりのぶんを自分でつくる生活にはまだ慣れていない。お客さんもそんなに来ない。

というくだりとか。
たしかに、年齢にかかわらず、自分ひとりだと簡単でいい、という人は多いよね。

衰えを覚(さと)るのは、周りに知り合いがいないときが多い。一人で失敗したときや困った時だ。だれのせいにもできなくて、だれも助けてくれないから、衰えの進行を実感しやすい。おもちさんは数えきれないほど実感していた。そのわりには慣れなくて、簡単にいうと、実感するたび、悲しくなった。ショックを受けたり、老いたからだに腹をたてたりする馬力はなくなったみたいだった。もはや、しんしんと悲しむのみだ。

と、書きながら、「惚れた弱み」じゃなく「衰えた弱み」と書いて、くすっとさせてくれたり、さいごに「今日もしあわせものでした」と締めてくれるのとか、作者さんに、ほっとさせてもらうご本でした。


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