なんとかなる日々

なんとなく きげんよく のびやかに。

会話とか受け答えじゃない、お喋り

ふだん国とかあまり意識しないんだけど、わたしの母国語というと日本語。

 地球にちりばめられて 著:多和田葉子

を読みました。
ものすごく面白かったです。
ミステリーのような、ファンタジーのような、シリアスなようでコミカルで。

留学中に故郷の島国が消滅した女性がヨーロッパ大陸で生き抜くため、いくつかの国の人とであれば通じ合える独自の言語をつくりだして、その独自の言語を駆使しながら、彼女が母国語を話せる人を探すというストーリー。

このご本、何も知らずに読むのがいいと思います。
驚愕の設定に慄きました。そのあたりを上手く伏せて書けるかな‥‥。

いろんな視点で、考えさせれること、面白い箇所がたくさんあって、わたしが一番興味深かったのは「ことばが人をつくる」っていう視点かな。

独自の言語を話すことで、その女性は強い、と目される。

僕らにもはっきり理解できる言語ではあるが、あくまで異質さを保っている。彼女を北欧社会に溶け込ませて目立たなくしてしまう言語ではない。しかもどんな母語とも直接はつながっていない。独自言語を話しているかぎり、彼女はどこまでも自由で、自分勝手でいられる。しかも会話が鞠(まり)のようにはずむので孤独にならない。

ことばが通じないことで距離をとれる、だから皮肉を言われてもどこ吹く風で平気。
だからこそ、母国語で話したい、ことばで繋がれる親密性を求めてる。

その女性が

10代のころ、女友達とこんな風にどこまでもおしゃべりを紡いで楽しんでいたっけ。一度糸口がつかめれば、あとはそれを辿っていくだけで、どんどん出てくる。言いたいことがたくさんあって口を開くのではなくて、話していると言葉が言葉を呼んで止まらなくなる。映画をみなくても、コンピュータ・ゲームをしなくても、おしゃべりしているだけで楽しかった

と回想していて、そっか、会話じゃなくて、おしゃべりねぇ、としみじみしました。
相手がいないと、おしゃべりは楽しめないもんなぁ。
「急に具合が悪くなる 著:宮野真生子 磯野真穂」でも書かれてた。お二人が楽しんでいたのも”おしゃべり”。

続編の 星に仄めかされて 著:多和田葉子 も続けて読みまして。

遊びには鬼という役割がある。鬼がいなければ、遊びはなりたたない。だから鬼を退治してしまってはいけないのだ。

たしかに。

3部作らしいので、次も楽しみです。


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