なんとかなる日々

なんとなく きげんよく のびやかに。

さざなみのよる

木皿泉さんのご本。図書館で1年ぐらい待ったのかしら。わたしの後にも60人の予約が入ってます。さくっと読んで、さくっと返却してきました。
この方(がた)のご本、ほんとに好物で、面白い。

木皿泉」という著者名だけれど、ご夫婦、二人で作品を作られている。そこも興味深い。もとは脚本家ですね、猫が好きとか。

で、この「さざなみのよる」。

読み始めて、あれ、登場人物、なんか知ってるような‥‥。
4年前ぐらいに放映されたドラマで、面白かったので、途中から録画して、ずーっとうちのHDに入ってるお気に入りのドラマ「富士ファミリー」。ドラマをもいっかい見て、エンドロールをよく見たら、わはは、脚本「木皿泉」。そうですか。わはは。

もうね、片桐はいりさんのおばあちゃん役が渾身で。薬師丸ひろ子とか、北の国から吉岡秀隆とか、高橋克実小泉今日子ミムラにマツコ(ロボット)。早々たるメンバーで、ボディブロー入りまくりです。

で、この「さざなみのよる」は、時系列的には、そのドラマの前のお話。

ドラマでは、それぞれのキャラに準じたストーリーが入り乱れて展開していく感じが、このご本では、それぞれの想いがじっくりと文字で綴られてる。
序盤は主人公(?)のナスミの余命最後の幾日か。

生きたいという気持ちと、もういいやという気持ちが交互にやってくる‥発作的に強烈に生きたいとおもったかと思えば、次の瞬間、いやもう充分だと思ったりしている。人が見たら、静かに病室のベッドで眠っているだけに見えるかもしれないが、心の中はいつも揺れていた‥いったりきたりする相反する気持ちの間隔がそのうちなくなるのだろう。ぴったりと重なって、心の中の矛盾がきえてしまったとき、自分は終わってしまうのだろう。とてもリアルにそんなふうに確信する。

あぁ、きっと、こうなんだろうなぁ、と自分が想像していることが文字になっている。
ほんとはどうかわからないけれど、そう考えている人が私以外にもいるんだ、ということで、ちょっと安心する。

自分にしかわからないものが、この世にあるんだ‥それはとてもさびしいことのように思えた。さびしいけれど、宝物だな、とも思った。

 


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