なんとかなる日々

なんとなく きげんよく のびやかに。

78歳の探偵

じじばば本続きです。

オールド・ディック 著:L.A.モース 訳:石田善彦

78歳のもと探偵の老人が、文字通り、死にそうになりながら活躍するお話です。
超面白い。

これ、本の後ろ書きをみると、昭和58年(1983年)発行で、2年後に6刷。今からほぼ40年前。作者は、当時37歳だったそうで、とすると、現在ちょうどこの主人公と同じ78歳ぐらいだ。どうなってるんだろうとWebで調べてみたら、写真、でました。元気そうなじーちゃんです。でも、40年前に37歳で78歳を描くってすごい。わたしもまだ78歳じゃないから、こんな感じなのかどうかはわからないけれど、78歳ってほぼこんな感じなんじゃないだろうか。

劇中劇みたいに、主人公が読んでるペーパーバックが入り込んだり、自分の死亡広告をずっと考えてたり。

<J.スパナー。昨夜、激辛のブリトウのため急死> 

<J.スパナー。病的に人生を思いつめたあげくに死亡> 

<J.スパナー。魂の捜索中に失踪> 

<J.スパナー。過剰な責任感の重みに押しつぶされて死亡>

 訳もいいんだな。すごくテンポよくて。そんな中で、気になる節々がある。

頭は実りのない堂々巡りに落ち込んでしまっていた・・・自分のしたこと、やらなかったこと、すべきだったこと、できるはずだったこと、というように。 

われわれが消費者だった時代の型式はほとんどすべて姿を消し、われわれはひどく不安な気持ちに追い込まれた。こうした事態はいつも突然襲い掛かる。時代が進み、まだなんとか時代に遅れていないと思っているうちに、突然なんらかの出来事によって、なにが起きたのかすら気づかないうちに世の中の動きに追いつけなくなってしまっていることに気づき、またく未知の風景の真ん中に立っているのを思い知らされることになる。

まさに、どんどんと技術が進んで、世の中、便利にはなっていってるんだけれど、どこまでついていけるのか‥。かといって、急にアナログな世界に放り出されても困るしなぁ。台風のときの、ほんの数日の停電でさえ、あっぷあっぷでしたし。

素敵な女友達も出てきて、これは、まあ、男のロマンってやつですかね。若い女子ともにゃんにゃんしよるし。

われわれは友人になり、すぐに友人以上のものとなった。そのこと自体は重要なものではなく、ロマンスと呼べるようなものでもなかった。ベッドをともにはしたが、われわれは恋人どうしといはいえなかった。しかし、われわれはおたがいに満足し、われわれの関係はふたりがそれなしで生きることを選んだものに対する埋め合わせのようなものだったといえるだろう。この関係は空虚さを埋めることはできないが、ほんの少し和らげる程度には役立った。

んー、でもいい関係だなぁ。

で、ぼこぼこにされて、気持ちが昂ってるけど眠らなくちゃって

灯を消し、まぶたの裏を見つめることにした。

現実的なハウツーにほっとしたり。
気持ちよい読後感です。


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