なんとかなる日々

なんとなく きげんよく のびやかに。

Living for today ~その日暮らし

「その日暮らしの人類学 著:小川さやか」を読みました。
日本のお話かと思っていたのですが、なんと、アフリカ、タンザニアの経済についてでした。お話っていっても「人類学」なので、論文ちっく。あとがきで著者も「論文みたいになっちまったー」と書かれてて、笑ってしまいました。まだ40代の女性でいらっしゃる。タンザニアって、このあいだハードボイルドグルメでみたケニアの隣国なんですね。ケニアとの交易とかも書かれていて、ふむふむ、と。で、その交易は中国までひろがっていっておりまして、香港の重慶大厦(チョンキン・マンション)も登場。ついこのあいだ、読者登録させてもらってるブログの旅行記でも写真を見たところ。あぁ、こういう背景の場所なのかと興味深く読みました。

Living for today、その日暮らし のタンザニアの経済。タンザニアでは「分け与える」文化が根強くて、「分け与える」に反する行為は、妬みやうらみの対象となって、ときには呪術を発動させてしまう。この妬みや呪術に対する「畏れ」ゆえに、人々は食物を分け与える、という文化だそうです。たくさんもってても、人にもっていかれる。だから、ほかの人びとと同じだけしか働かない。そんな風に、村人全員が、ほかの人びとと比べて損をしないよう「いかに努力をしないか」を競っていけば、結果として最小限の努力でギリギリ生計を維持しようとする社会になる。最小生計努力の社会。足りなくなったら、誰かに(助けて)もらう。それが、アフリカ経済の発展の障害になってるーていう説もあり。

そもそもに、将来のために身を粉にして働くってことはなくて、「今」の好機をつかまえて、そこにのっかる。好機は、先に書いたような「相互扶助システム」が、国の社会保障以前にすみずみにまで行きわたってるから、仲間のネットワークからつかむことが、いつでもできるようになってる。そこへの信頼というか自信は確固としてあるみたい。

助けてもらうことは「借り」になるんだけれど、いつも誰かが誰かを助けて(お金を貸したり、仕事を紹介したり)しているから、誰もが、誰かから「借り」ていて「貸してる」状態。でも、「たくさん借りてるやつは、それだけ貸してくれるやつがいるってことで=仲間がたくさんいるってこと。信用できる」という論。‥‥そうなのか?
不安定だけれど、なにやら、自信とか余裕がある。

日本は、明日どうなるかわからないといったゾワゾワを封じるために、社会全体で、「今」の延長線上に未来を計画的・合理的に配置していて、未来のために現在を生きることが、まるで義務であるかのように生きている。安心・安全が予想可能性と強く結びついて、よりわかりやすい未来を築こうと制度やシステムを高度化して、将来のために身を粉にして働いている。これに反する生き方は基本的に、社会不適合で「ダメな」生き方だと考えられている。日本人は、常に、未来の豊かさや安心のために現在を貯蓄し、みずからの身体のある「現在」を生きていない、と書かれてました。

まぁ、文化の違いがあるから、一概にどうともいえないけれど、先のこともそれなりに考えつつも「今」を最優先として今の自分を生きる、のがいいなぁ。

こんなことしてたら、この先こまるんちゃうか、とつい転ばぬ先の杖のほうを優先しがちですけれどね、それこそ、その時その時でなんとかなる、自分でなんとかできるって信じるというか。これまでだって、なんとかなってきてるんだから、そこは自分や周りを信頼していいんちゃうかなぁと。

とりもなおさず、今は「これ」って感じることを精いっぱい楽しみまする。


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