なんとかなる日々

なんとなく きげんよく のびやかに。

装丁がおもしろい

「エミリーの記憶喪失ワンダーランド 著:ロブ・リーガー 訳:西田佳子」を読みました。軽くさーっと読める本、と図書館をうろうろして目にとまった1冊です。表紙はまっ黒に赤い字。ゴシックロリータっぽい女の子のイラスト。これが、なかなか面白かったのです。女の子が公園で記憶喪失状態になったところからお話はスタート。遺産相続にからんだミッションのために記憶喪失になっているんだけれど、まさに自分探しから始まるあれやこれや。お話も面白いんだけど、その、レイアウト、というか装丁がね、とても面白くて。挿絵が写真を張り付けた風にしていたり、ところどころ箇条書きになったり、ト書きになったり、くしゃくしゃな紙に書いた風とか、破れてる風とか。まんがとは違うんだけど、ただの小説ってのでもない。こういうのは、なんていうジャンルになるのかなぁ。楽しく読めました。「自分の記憶(メモリ)にアクセスしたい。いますぐ。」とかね、「超ヘコむ。なんか怖いし、みじめな気分。けど、すぐに復活。ひょっとしたらあたし、いままで最悪な人生を送ってたのかもしれないもんね。だったら忘れてよかったってことだし。」とか。

この本を読んで、そうだ、装丁でうなったご本があった、と書棚から出してきました。
「有夫恋 著:時実新子」。川柳です。タイトルからわかるように不倫状況からうたわれる川柳の数々なんだけど、1ページに段違いに次々と配置されていて、怒涛のように目に入ってくるの。
 かたまりが火の色となり喉(のど)にあり
 みんなうそつき吊革がゆれている
 はずむ日の猫ぎゅッと抱きぎゅッと抱き
 手が好きでやがですべてが好きになる
 欠伸(あくび)して四十歳が夢のよう
 夕焼けの部屋抱きしめるものがある ‥‥
ちょっと衝撃でした。あとがきを田辺聖子さんが書いていて「一行詩」と書かれてますね。これも、なかなかにしびれる1冊です。


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